« 日本の「株主富豪」ランキング | トップページ | 北山修 アドルノ的人物伝 »

2010/07/17

否定と拒否の態度

 劇作家・井上ひさしの作品「紙屋町さくらホテル」は、新国立劇場の開場記念、いわゆる「こけら落とし」のために書かれ、公演された。

 この戯曲には、井上ひさしの分身としての「大島輝彦」なる言語学者が登場し、次のように語る場面がある。

 大島 ひとはそれぞれ違った言葉を話しています。しかし、否定や拒否の態度を表そうとするとき、そのときに限って、奇妙なことに一致してN音を使う。逆に言うと、否定と拒否の態度を忘れたとき、人間は人間でなくなるのではないか……。

 もちろん、この戯曲には、ヒロシマへの原爆投下、および、演劇とは何かを考えさせる名文句がたくさん出てくるのだが、『否定弁証法』の著書を持つアドルノ先生(1903-1969)に学ぼうとするとき、「大島」が語る、この言葉に注目しないわけにはゆかない。

 なにごとも否定ばかりしていては、ものごとは進まないという。しかし、否定と拒否にも、人類がかちとってきた重要な意味はある。そう考えたい。

« 日本の「株主富豪」ランキング | トップページ | 北山修 アドルノ的人物伝 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/38028/48895701

この記事へのトラックバック一覧です: 否定と拒否の態度:

« 日本の「株主富豪」ランキング | トップページ | 北山修 アドルノ的人物伝 »