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2010/06/22

日本の大資産家、北朝鮮「脅威」論、そして、アメリカの投資家

 大資産家という存在が、いかにとんでもない人たちであるかを考えたい。あわせて、番外編として、北朝鮮「脅威」論も考えてみよう。

 1人の人間が生活していくのに、例えば日本なら1カ月30万円の給料があれば、ボーナスを除いて年収360万円。これで家族を養うのは苦しいが、なんとか生活できる。老後に備えるには今の日本で本当は生涯の平均年収600万円ぐらいが最低でも必要な賃金である。ところが、日本でも年収200万円の人が増えている。平均1カ月16万6000円。これでは老後の蓄えどころか、日々の生活にも困る。東京への遠距離通勤暮らしで家賃5万の物件があったとしても、食費3万をあわせると、給料の半分が消え、残りは水光熱費や受信料、電話代、交通費、交際費、趣味・行楽代で消えてゆき、貯金は月1万から2万できるかどうかが精一杯ではないだろうか。これで、子どもの養育・教育費をどうやって捻出しろというのかという怒りがわいてくるはず。一方で、日本の大資産家は、1人の人間が一生かかっても使い切れないお金を貯めこんでいる。

 日本の大金持ちを見る前に、世界の大金持ちのベスト3は、フォーブス2010によると、次の人たち。

①カルロス・スリム    テレフォノス・デ・メヒコ(メキシコ)4.82兆円
②ビル・ゲイツ       マイクロソフト(アメリカ)    4.77兆円
③ウォーレン・バフェット 投資家(アメリカ)         4.23兆円

 こんなレベルだと、どこかの国の国家予算に匹敵する。1人で1国家みたいな大資産家。しかし、その実体は、周りの人たちに「もうけ」を還元しないで、人格化した資本としてお金を貯めこんでいるということではないのか? 「大搾取」を絵に描いた感じ。使い切れないお金があるのなら、なぜ多くの人に分け与えようとしないのか。金持ちは気前よくない。ドケチなのだ。資産を増殖させることに執念を燃やすようになってしまうみたい。強欲資本主義そのものである。
      
 さて、日本の大金持ちは、ケタが下がって次の順番。①位から⑪位まで足してようやくメキシコの大資産家を超える水準。それでも大資産家であることは疑いようもない。

①柳井正 ファーストリテイリング社長(衣料) 6,840億円
②佐治信忠 サントリー社長(飲料)      6,750億円
③森章 森トラスト社長(不動産)       5,670億円
④孫正義 ソフトバンク創業者(IT)      5,310億円
⑤毒島邦雄 SANKYO創業者(パチンコ)     4,860億円
⑥三木谷浩史 楽天社長(IT)         4,320億円
⑦山内溥 任天堂相談役(ゲーム)       3,780億円
⑧糸山英太郎 新日本観光代表(ゴルフ場)   3,060億円
⑨滝崎武光 キーエンス創業者(電気機器)   2,790億円
⑩三木正浩 ABCマート創業者(靴・小売)   1,980億円
⑪永守重信 日本電産創業者(電気機器)    1,800億円
⑪高原慶一朗 ユニ・チャーム会長(衛生用品) 1,800億円
⑫伊藤雅俊 セブン&アイ・ホールディングス名誉会長 (スーパー・小売 ) 1,710億円
⑬韓昌祐 マルハン会長 (パチンコ)     1,620億円
⑬多田勝美 大東建託会長(不動産 )     1,620億円
⑭森稔 森ビル社長 (不動産)        1,260億円
⑭田中良和 グリー創業者 (IT )       1,260億円
⑭福武總一郎 ベネッセコーポレーション会長 (教育・出版 )1,260億円
⑮神内良一 プロミス創業者(消費者金融)   1,170億円
⑯船井哲良 船井電機会長(電気機器 )     1,080億円
⑰岡田和生 アルゼ会長 (パチンコ)       900億円
⑰島村恒俊 しまむら創業者(衣料 )       900億円
(『フォーブス』世界長者番付・億万長者ランキング2010年から。資産は、1ドル =90円で換算)

 トヨタやパナソニックなどの大資産家(創業家として株で儲けている人たち)は裏に隠れて表に出てこないので、本当の大金持ちは他にもっといると思われる。

 例えば6840億円の資産があれば、1日あたり18億7000万円、1カ月570億円。また、例えば900億円の資産があれば、1日あたり2億4657万円の収入がある計算。1カ月75億円。これだと、松井やイチローが束になってもかなわない大富豪である。こういう人たちからたくさん税金をとっても、なお大金持ちであることに変わりない。大体、一生かかっても使い切れないようなお金を持っていて、どうしようというのだろうか? 貧しい人たちを助けようとは思わないのだろうか?

 さて、話は変わるが、北朝鮮「脅威」論を煽りたてる人々がいらっしゃる。日本経済新聞の6月21日付の経済教室でも神保謙慶応義塾大学准教授が北朝鮮に対して強硬な対策をとるよう主張していた。どうも、緊張を高めつつ、戦争をしない程度に制裁を加えよということらしい。矛盾した言葉が散見されるのである。
 いたずらに緊張を高めれば、アメリカのミサイル製造企業が儲かるだけであるが、軍需企業が栄える国の経済がうまくいったためしがない。

 神保氏の主張のなかには、奇妙なことに、6カ国協議を復活させるべきだという考えがないらしい。

 では、北朝鮮は本当に「脅威」か?

 外務省のホームページを見ると、北朝鮮の人口は約2405万人で、経済規模は248億ドル=2兆2320億円(2008年、韓国銀行推計)。メキシコやアメリカの大資産家に及ばないし、日本の大資産家でいえば、柳井氏から孫氏までの資産を足した額にも及ばない。経済規模なので、国家予算と違うが、北朝鮮の国家予算は、一説によると、東京都の足立区並みという話があるらしい。発表されていないのでわからない。同じく外務省のホームページでは、北朝鮮ではGNI(国民総所得)は1人あたり1,065ドル=年収9万5850円(2008年、韓国銀行推計)という数字を出している。1日あたり263円の収入。月7988円。
 
 こんな貧しい、ちっこい北朝鮮やギリシャ(経済規模は神奈川県並みという指摘あり)のような弱い経済、弱い財政の国に対して、日本が何かビクビクするというのも変な話ではないか。アメリカの言いなりになってビクビクするように仕向けられているようにさえ思えてしまう。

 それよりも、投資会社バークシャー・ハザウェイを経営する世界第3位の大金持ちのバフェット氏は、日本経済新聞2010年5月3日付によると、「将来的に日本での大型買収を実現させたい」と述べ、日本への本格投資に意欲を示しているという。買収の時期については「5~10年先か、場合によっては5~10カ月で実現することもあり得る」などと語っているそうだ。本当かね。ウソつき投資家の国の人々の言うことは信じられない。

 しかし、日本経済の動向を見ると、これからアメリカの投資家による日本買いがあるかもしれない。北朝鮮の「脅威」などという前に、アメリカ金融資本からの「日本防衛」こそが問われているのではないだろうか。

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コメント

こんにちは、はじめてブログ読ませていただきました。なるほどー、です。個人的に知り合いでお金持ちがいまして”一体大資産家っていうのはどういう考えなのだろう”と思ってました。そういう使われない膨大なお金を集めて善良な団体に寄付したりいま医療や食べ物がひつような人々に使えばベストなのに。と思います。

投稿: vivasanta | 2011/02/16 10:24

 vivasantaさま、コメントありがとうございます。はじめまして。 
 そうですね。日本でも大資産家の納税額を増やし、寄付の「文化」が定着することを期待しています。アメリカの寄付「文化」は、やはりキリスト教の影響があるのでしょう。 
 かつて、お寺や神社に寄進したり、奉納したりという「文化」を日本ももっていたように思いますが、昔と違って現代日本のお寺や神社に社会的機能がありません。
 寄付する人の名誉がもっと称えられるような慣習をつくりだすことも必要かもしれません。

投稿: アドルノ的 | 2011/02/22 01:12

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