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2008/01/28

戦争は下品 NHK教育テレビは偉い

 詩人・金子光晴の特集番組といい、作家・織田作之助の「続夫婦善哉」をめぐる言論統制を振り返る特集番組といい、NHK教育テレビは今年、抜群に良い番組を放送している。

 金子光晴を語る詩人のアーサー・ビナードの洞察の素晴らしさ、言論統制を語る澤地久枝の歴史探究のすごさ、などなどを取材、編集、放送し、大絶賛に値する。「九条の会」に関係する文化人は、実は、ほとんどテレビに登場できなく(させなく?)なっているようだ。このあたりのところを、もう少し調べてみたいのだが、おそらく、現在のマスメディアの露骨かつ巧妙、陰湿な言論統制、言論コントロールを折にふれて見ていきたい。

 以上、二つの番組を見逃した人は、誰かビデオやDVDに録画していないかを探し出して、ぜひ見てくださいとお願いしたい。NHK嫌いのアドルノ的筆者があえて言う。アーサー・ビナードが、戦争を繰り返さないためには、戦争は下品なのだという訴えが重要なのだと述べたくだりは、ほんとうに目が覚めるようだった。戦争に反対するという主張は、もっと工夫がいるし、本質をズバリと突く語り方は、探究されてしかるべきなのだ。戦争は下品。そうなのだ。

 NHK教育テレビと対照的だったのが、27日夜9時放送の日米同盟をめぐるNHKスペシャルだった。感想をいえば、「戦争は下品」の思想に真っ向から逆らう、まったくヒドイ番組の一言。一方的な情報を垂れ流すのみで、驚くべきことに「集団的自衛権」を容認するのが時代の流れだといわんばかりの主張を展開し、「体制」側の人物ばかり登場させていた。三宅キャスターによると、時代は急激に変化しており、日本はその流れに乗り遅れるのだそうだ。九条改悪に誘導する意図が隠された、こんなクダラン番組を放送する限り、NHK総合テレビに未来はない。

 なるほど、「体制」側の現在を伝えるには、NHKなりに、米軍の情報統制の壁を破る、あのような取材方法しかなかったという「弁明」(あくまでも推測)もあろう。「体制」に迎合する振りをして、「体制」内の、日頃うかがいしれない情報を伝えるという、少し卑屈(かなり卑屈)な方法である。番組自体も「体制」側の線で落ち着かせますから、取材を許可してくださいという匂いがプンプンする。見る人が見れば、まあ、危険な動きが進行しているなあ、という見方は可能であるからだ。

 しかし、価値観の多様な、思想も異なる視聴者に対して、「みなさまのNHK」「スポンサーはあなたです」といっておきながら、自民党が喜ぶようなメッセージを発する番組は、自民党広報であって、報道の域を超越している。安倍晋三前首相が登場する場面は、妙な古臭さがあったし、髪の毛がまだ少し黒みがかっていた小泉純一郎の映像も必要だったのだろうか。石破茂防衛相がかしこまって、とうとうと屁理屈を語る場面や、防衛省幹部をしつこく追いかける場面は、噴飯物だった。「戦争は下品」を訴える人間に対して、アメリカ言いなりになって卑屈にアメリカの軍事企業が売りつけるミサイル防衛に邁進する日本の主張が世界の流れなのだという見解は、とうてい受け入れることはできない。「みなさまのNHK」が、いかに欺瞞的な宣伝文句であるか。

 自民党広報は、NHKを使って、国民を洗脳する作戦に出たのではないか。以前から検討を進めてきたことを、実行に移したということなのだろう。

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2008/01/20

おひさしぶり

 あけまして、おめでとうの言葉も申し上げておりませんでした。どうも失礼いたしました。年賀状も販売期間が延びて、松の内が延びたわけでもなく、正月気分もあるわけではなく、アドルノ先生(1903~1969)の伝記、評伝が次々に翻訳されたことに狂喜していただけです。

 新年恒例にしていた元日付新聞の比較も今年は、とりやめました。あまりにも各紙がつまらなくて、面白くなかったから。ちょこちょこ、ふーんという記事もありましたよ。けれども、なぜだろう、「朝日」はつまらない新聞にどんどん進行していく。首都圏青年ユニオンの人たちをとりあげる記事だけは良いけれども、それ以外は無惨な感じがする。小粒化しているのか、記者の目が感じられない記事が多い。たんたんと報じて、それで満足している感じ。反論していただいて結構ですが、異論もあるでしょうが、右翼からの「朝日」批判は論外としても、おや、すごいなと感嘆する記事を読むことができなくなっています。国会カンケイの記事でも、しつこさがないような。
 岩波書店の『世界』とか、朝日新聞とかに、長いインタビューや評論がでなくなっているのですね。しかも、政治学者で東大教授の蒲島郁夫が自民党から熊本県知事に出馬しようとしている。これもヒドイ話ですね。政治研究にあきて、実践してみたくなる気持ちはわかりますが、自民党推薦を受けるなんて、みずからの政治理論の破たんを認めているようなもの。こういう政治的に筋の通らないことをする学者がいる限り、日本の政治を良い方向に飼えていくのも難しい。まあ、知事になって良いことをやれば話は別ですが。それも自民党なるものとの整合性で矛盾をきたすでしょうなあ。

 知事は一国一城の主。かなりやりたいことがやれるということなのでしょう。あの、そのまんま東、東国原英夫宮崎県知事の昨年の当選が刺激材料になっているということですか。徴兵制礼賛の東国原知事を持ち上げるマスメディアには注意した方がいいですよ。ふつうは、ああいう発言をする人物はケシカランと、まあ、こうなるはずなんですが。

 気合が入っていたのは、「しんぶん赤旗」で、井上ひさしと樋口陽一の対談、志位和夫と品川正司(正しくは、経済同友会終身幹事の品川正治)の対談など豪華でした。自由民主新報(正しくは、自民党機関紙「自由民主」)は、福田康夫と田勢康弘の対談でした。権力にすりよるジャーナリストの末路という感じでしょうか。ジャーナリストは反骨たれ。そういう思いを新たにしているところです。とりいそぎ、ごあいさつまで。

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