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2006/01/02

元日付の各紙を読む 2006年版

【2006年社説&主張】(順不同)
「朝日」…2006謹賀新年 武士道をどう生かす
「毎日」…ポストXの06年 壮大な破壊後の展望が大事 結果責任を負ってこそ名首相
「読売」…人口減少の時代へ国家的対応を 市場原理主義への歯止めも必要だ
「日経」…人口減に克つ① 成長力を高め魅力ある日本を創ろう
「産経」…年頭の主張 新たに始まる未知の世界 アジア戦略の根幹は日米同盟
「東京」…年のはじめに考える 日本の出番なのに…
「赤旗」…新年にあたって 連帯の輪広げ、語ろう希望

 ※「朝日」社説は藤原正彦著『国家の品格』の読書感想文。「毎日」社説はポスト小泉を論じたものだが自民党政治の枠内で論じる。「産経」はアジアでの緊張をさらに高めようとする極めて愚劣な主張。人口減をテーマにしたのは「読売」「日経」で、人口減が経済成長の先行きを暗くするという見解をもつ財界筋を意識した社説。一国的な視点からすると人口減は心配だろうが、世界的な視点からするとどうなのか。人口増の国は眼中にないのだろうか。

 【独断と偏見で注目した対談・インタビュー、エッセー、記事】(順不同)
「共同通信」(地方紙へ配信)…加藤周一・藤原帰一、谷川俊太郎
「赤旗」…志位和夫・渡辺治
「朝日」…橘木俊詔・西垣通、スラヴォイ=ジジェク、養老孟司、五木寛之・大谷光真
「毎日」…野口聡一・田中耕一
「読売」…大江健三郎(2面「顔」欄)、高村薫
「東京」…高村薫、橋本治

 ※加藤・藤原対談は地方紙でないと読めない「もったいない」記事。いわゆる『世界』(岩波書店)人脈的な企画だが、いまや良心的な知識人は「赤旗」と『世界』ぐらいにしか登場しなくなっている。高村薫は人気が高い。保守やリベラル層のどちらにも受けがいい。ジジェクを出してくるあたりが「朝日」らしい。昔から「現代思想」好き。しかし、平凡な内容で訴求力に乏しい。なぜか世界社会フォーラム系の外国人は日本の新聞にあまり登場しない。選別の基準でもあるのだろうか。元日付では、科学もの、宇宙もの、自然ものがもう少し読みたかった。日本の貧困な科学教育の影響が新聞企画にも及び始めているのか。昨年は世界物理年を意識してアインシュタインをめぐる企画記事が面白かったので、それとの落差が目立つ。そのなかで「毎日」のノーベル田中さんの対談記事は奮闘していたといえる。いつもけなしてばかりいるので、元日付だけ少し褒めたい。「朝日」には本多勝一さんクラスの記者がいなくなって久しい。「大物」記者が次々と退職している。本当に「大物」かどうかは別にして、記者の名前を売り出している割には、読みたいと思わせる記者がいない。元日付紙面ではないが、「毎日」の「記者の目」欄は、社論と違う視点もあったりして面白い。それ以外は全然面白くない。

 【バケの皮がはがれた対談】
「毎日」…世耕弘成(自民党)・鈴木寛(民主党)・西村博之(2ちゃんねる)

 【飛び抜けて反動的な対談】
「産経」…ジェームズ・ケリー前米国務次官補と古森義久

 今年も最寄り駅の売店へ元日付を買いにいったが、すぐに目を皿にして読みたくなる記事は少なかった。情けない。もちろん、面白い記事もあった。「朝日」は、元日付1面トップをつくるにあたって迷った形跡がある。「朝日」社会面トップにある竹中総務相ブレーン(木村剛)の疑惑記事が、おそらく1面トップ候補だったのだろう。竹中総務相は、最近、首相候補に祭り上げられているが、公務員の総人件費縮減など、怨みを買いやすい小泉「改革」の責任をとらせてクビにするための「要員」とみることもできる。竹中自身は、そのことに気づいているのだろうか。汚いねえ、自民党は。「朝日」が1面候補の記事を社会面に回したのはどういうことだろうか。

 その他、テレビ番組と同様に小泉チルドレンを登場させる記事が増えている。しょうもない人物を登場させるな! だんだんと正月の楽しみがなくなりつつある。「日経」本社ビルの隣にある日本経団連で消費税増税路線は、もはや既定のことで、「日経」紙面にもそれが反映しているが、自民党はあくまでもウソをつきつづけている。こんなのにダマされる方が愚かといえば愚かでもある。

 日米同盟強化を「産経」が主張するのは例年と変わりないが、森本敏もふくめて三つも日米同盟の記事を載せているのは、危機感の表れか。対中国との関係で、靖国問題も巻きこんで日米同盟は揺らぎつづける。グアムの米軍基地建設まで、日本の税金で請け負うことを知っている人はどれだけいるだろうか。昨年末、東京・八王子市で起きた米上等兵によるひき逃げ事故(逮捕後、日米「不平等」協定により米兵は釈放)、年始の名護市長選、年末の沖縄知事選、あるいは米中間選挙など、日米関係にかかわる審判も多い。IT長者が某新聞社を買収なんてこともあるかもしれない。近所の中古車センターもいつの間にかライブドアに買収されていた。暗躍する大銀行を批判する記事も読みたい。あ~あ。

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コメント

はじめまして、加藤氏の非公式HPを作っているものです。

>「共同通信」(地方紙へ配信)…加藤周一・藤原帰一

共同通信系でも地方紙によっては、この対談を載せていないものもあるようですが、貴方は、どの新聞でご覧になったのでしょうか?

投稿: oha | 2006/01/04 17:58

はじめまして。加藤周一氏の非公式HPは、以前訪れたことがあります。光栄です。
 さて、ご質問に答えるのは、アドルノ的筆者の居住地を明らかにすることになりますが、大した個人情報でもない(?)と思うので、お答えします。
 「千葉日報」元日付で、加藤周一、藤原帰一両氏の対談を読みました。「千葉日報」元日付1面には「日の丸」がカラーで出ますので、コアな加藤周一氏のファンは、おそらく「千葉日報」を手にとることもないでしょう。毎年、「共同通信」の配信記事を読むために、元日付だけ右翼っぽい「千葉日報」を買います。
 「千葉日報」1面の記事お知らせ欄には、加藤、藤原両氏の名前はありません。対談内容をにおわせる小さな見出しがあるだけです。しかも、第一部、第二部の「おせち」的別刷りに、新春大型対談として掲載されているので、丁寧にページをめくらないと見逃す人もいると思います。加藤、藤原対談は、「千葉日報」の紙面には誠に異質、ぜいたくな対談です。でも、共同通信の配信ともなんとも書いていません。読者には不親切です。蛇足ですが昨年は、鶴見俊輔、中村哲両氏の対談でした。これも面白い対談でした。
 加藤周一氏は、昨年末に出た『漱石研究』(終刊号)でも面白い対談をしています。参考までに。

投稿: アドルノ的 | 2006/01/05 00:55

ご丁寧な回答、ありがとうございました。

投稿: oha | 2006/01/05 05:36

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