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2005/03/31

武富士と朝日新聞

 やはり、出たか。31日発売の『週刊文春』で、朝日新聞がサラ金帝王の武富士から、『週刊朝日』への取材協力費の名目で、5000万円を受け取っていたと暴露された。
 まあ、もとはといえば、フリージャーナリストたちの執拗な追及があったからこそのスクープ。武富士側にも、マスコミ対策のリストがあったから、早晩、明らかになる事柄だった。まあ、朝日新聞は、社長が交代することになるだろう。

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2005/03/30

『武富士対言論』

 市民がメディアを育てるためには、どうすればいいか。その手がかりは、職業的なジャーナリストの生態を、市民の側からも知ることが必要だ。素人ブロガーと、ジャーナリストは、どう違うのか。ジャーナリストと市民は、どう手を携えてゆけるのか。メディアの行方を考える上で、本当に必要なことは何か。
 考える上で参考になる本がある。
 アマゾン・ドットコムに注文していた北健一著『武富士対言論』(花伝社、2005年)が、ようやく手元に届いた。日々の裁判を追うコラムが『週刊金曜日』で連載されているので、ご存じの方もいるのではないか。

 さすがに、最近は、武富士のティッシュもあまり見かけなくなった。が、本書は、かのサラ金帝王、武富士から名誉毀損で訴えられたフリージャーナリスト(三宅勝久さん、山岡俊介さん、寺澤有さんたち、ほかたくさん)が、いかにして武富士を追い詰めたを描く熱いルポルタージュである。

 武富士といえば、一時は財界総本山の日本経団連に参加したこともある企業だ。武井保雄前会長は、長者番付のトップに名前を連ねる大富豪であった。テレビCMでは、武富士ダンサーズの踊りが知られるが、いまは放映されず、どちらかというと、チワワを使った別のサラ金会社のCMが頻繁に流れるようになった。
 本書では、そんな武富士が大手マスコミ接待を繰り返していたことが、痛烈に暴かれている。

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2005/03/29

「もうからない企業」と放送

 えー、長い前口上を。
 『アエラ』を読むと、フジテレビ救援活動に乗り出した北尾氏が紹介されています。野村証券の出身なのですね。かなりのやり手らしいです。M&Aを日本で一番よく知っていると語っていますが、その難しさもご存じのようです。でも、テレビで見ると、偉そうで、軽薄に映りますから、残念! 斬り!(作家の島田雅彦さんによると、なんでも、ギター侍の原型は、パンク侍の町田康さんらしいですが…)。北尾さんは、明石家さんまの師匠に雰囲気が似ているとの指摘もあります。父親は洋書や漢籍を扱う書店経営者だそうです。関西人なのでしょうか、関西弁がときどき混じります(というか、語りのイントネーションが関西弁。こういうときに中島らもさんがいてくれたら…)。詳しく知りたい人は、『アエラ』最新号をどうぞ。でも、『アエラ』は、いつの間にか分厚くなっている。広告をたくさん入れているせいでしょうか。
 『アエラ』では、ブッシュ大統領のクロフォード牧場の話も面白いです。写真に撮るのも厳禁だそうで、集音マイクが至るところにあるといいます。恐ろしい牧場です。BSEに感染した牛なんかもいるのでしょうか。テキサスのブッシュ牧場での調査は、ほぼ無理です。牛は監視していないのでしょうか。

 28日のテレビ東京系のWBS。楽天の三木谷社長は登場したのでしょうか。私はボーッとしていたので、どうも出ていなかったような。テレビをラジオで聞いていたので、わかりません。愚か。予定変更だったような気が…。番組を見ていた人は、ぜひ教えてください。(前口上おわり)

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2005/03/28

後からきたのに追い越され

 ライブドア対フジテレビにソフトバンクが参戦して、プロ野球合併問題と同じような結末を迎えようとしている。
 プロ野球合併問題のときも、最初にライブドアが名乗りをあげて、楽天の参戦とつづき、ソフトバンクが一番スムーズに球団買収をすすめた。ハゲタカチックというか、おいしいとこどりというか、素人目にも、徳川家康型の待ちの姿勢に徹したところが目につく。M&Aの世界は、最初に企業を買いに走る者が苦労するようだ。「後からきたのに追い越され」というTBS系時代劇の歌さえも聞こえてくる。

 今回のケースと違うのは、楽天の姿がまだ見えないことだ。別に関係ないといえば、関係ないのだが…。「ロッテ26-0楽天」では元気が出ないかもしれない。テレビ東京系のWBS(28日午後11時半から放映)に三木谷社長が出演するそうなので、注目しておかなければ…。

 

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2005/03/27

著作権の壁

 ネットとテレビの融合には、現実的には著作権の壁が横たわっています。日本経団連は、なんらかの基準づくりをしている様子。
 それ以前に、アニメーション関係者の著作権を守る努力をしていただきたいものです。とくに、声優さんたちの権利を守ってほしい。ルパン3世の声を担当した山田さんとか、古代進の声を担当した富山さんとか、故人になられた声優さんたちのためにも。

 それは、さておき、昨日(26日)のNHK7時のニュースは、ひどかった。ディズニーランドのことは、千葉・浦安にあるテーマパークと名前をボカしておいて、牛タンがなぜ食えなくなっているかのニュースでは、焼肉の有名チェーン店の映像を看板といっしょに、ばっちり映していた。コメントしてくれた方の指摘のとおり。
 ひょっとすると、日本フードストア協会からの圧力だろうか。肉だけに、肉厚(肉圧)なんてね。お後がよろしいようで。林家正蔵、万歳!

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2005/03/26

ライス長官のうわさ

 コンドリーザ・ライス米国務長官にまつわる話が、週刊誌で紹介されている。『週刊文春』によると、独身の彼女には、アメフト選手の彼氏がいたとか、私生活は謎だとか書かれている。私生活まで知ってどうするのだろうか。田中真紀子氏の娘のことを書いた『週刊文春』だから、ライス氏の私生活にも興味があるというわけなのだろう。
 また、ライス長官の上智大学における演説も、参加者について制限するなと注文をつけていたという。その演説の中身の方が問題だったと思うのだが、『週刊文春』は書いていない。太平洋国家としてのアメリカを強調していた。戦略開発同盟とか、東アジアの外交的環境について、いろいろと注文をつけていたと思うのに。
 1986年にライス氏が防衛大学校で特別講義をしたとき、不愉快な目にあったらしいことが、『週刊文春』の記事の中で唯一、「おや」と思わせるところ。
 ブログではkenboy3さんが、ライス長官と直接話す機会があったことを打ち明けている。講演の後、出席者の一部と懇談したのですな。情報収集は抜け目ないなあ。
 米国務長官でなければ、チャーミングな面もあることは確か。しかし、取材した記者に聞いたら、ほんとうに言いたい放題の感じだったという。向かうところ敵なし状態の心理なのですな。
 
 ライス長官の日本滞在中の移動経路は、実に狭い範囲だった。羽田空港は別にして、飯倉公館、上智大学、あるいはホテル・ニューオータニは、ものすごく近い。いや、東京都心は狭いということか。カトリックの観点から上智大学を選んだのか、警備の観点から上智大学を選んだのか、判然としないが、日本に何度もきているから、別に、もう吉野家なんか見なくてもいいわけなのだ。それとも、デンバーの吉野家を知っているからだろうか。だれもライス長官に質問してくれなかったなあ。あまりにもしょうもない話すぎて情けないが…。

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2005/03/25

論壇もホリエモン

 讀賣新聞3月24日付も「緊急談論」で「ライブドア経営権獲得へメディアへの影響」をとりあげ、3氏の意見を紹介している。いわゆるメディアのあり方論について、「毎日」、「朝日」、「讀賣」の3大紙がそれぞれ特集を組んだことになる。壮観ですな。

 「日経」が、みずからにとっても商売敵であるはずのブルームバーグの例をあげて、ライブドアの先行きを占っている論説記事を出していたのが目を引いた。しかし、あまりブルームバーグの例を出す人は少ないようである。残念である。
 逆に「毎日」の論壇時評にあたる「雑誌を読む」(3月24日付夕刊)では、ホリエモンがロイター通信を目標としているとの説が出されていた。本当だろうか。ロイター通信にたいして失礼な話だと思うが…。ニュースの商人ロイターには、腕利きのジャーナリストがいるし、カメラマンも極めて優秀である。ロイター通信のようなものを日本にもつくってくれるのなら、ありがたいが、ホリエモンだけにそれを期待するのは無理というものである。どうも比較の対象になりにくい。ロイターの経済記事を活用している企業は、日本にどれだけあるのだろう。

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2005/03/24

公明党に弱い「毎日」

 毎日新聞が3月23日付2面で、少しおかしな小細工をしていたので批判しておこう。なんでも、公明党が「待った」をかけたから、自衛隊法改正案(以下、改悪案という)が今国会提出見送りになりそうだと見出しを出している。
 「讀賣」も以前、同じような記事を書いていた。これは、明らかに読者をミスリードする記事である。モノはいいようで、ミサイル防衛の迎撃手続きを決め、防衛庁内の情報本部を格上げする自衛隊法改悪案(これも大問題なのだ)の方は「毎日」によれば、分離されて、先行して国会に提出されているという。「毎日」の見出しをみると、そちらの方も見送りになるのかと錯覚してしまう。ミサイル防衛の手続きについて閣議決定をされたのは知っていたが、いつ国会提出されたのだろう。うっかりしていた。ミサイル防衛そのものも、日本がアメリカまかせの情報にもとづいて対処することになる危険性があり、ブッシュ政権をささえる米軍需産業が背景で暗躍しているので、とんでもないことが色々ある。先のライス長官と町村外相の会談でも、当然、話題になっているはず。なぜか、外にもれてこない。

 では、自衛隊法改悪案の何が提出見送りになりそうなのか。

 自民党が提出を見送る気配を見せている(あやしい)のは、自衛隊が海外派兵を「本来任務」にする自衛隊法改悪案の方なのである。自民党が、この改悪法案の提出を見送る動きをしている記事は、ベタ記事でなんども他紙に出ていた。いわば、自民党内の見送り気配を察知した公明党が、がめつく自分の「成果」にしようとしているにすぎない。それを、また、持ち上げようとする新聞があるから、始末が悪い。

 自民党が、今後の国会で、自衛隊が海外派兵隊と名前を変えねばならなくなるほどの自衛隊法改悪案を再び提出するのは間違いない。事実上、憲法改悪になる大改悪案なのだが、大新聞による真っ向からの批判は、ほとんどない。なぜか。「ブログ時評」で妙な「リテラシー」論を展開している団藤保晴記者にも、解説していただきたいものである。

 同日付5面で「毎日」は、「公明が都議選を意識 『安保で突出』印象を回避」と、面をかえて解説的記事を出している。昨年10月の公明党大会で自衛隊海外活動「本来任務」化は「国民の合意を得られる」と容認していたことをなぜ、2面の記事に入れないのか。記事の扱いを決め、見出しをつけた編集制作総センターのデスク、記者は、恥ずかしくないのだろうか。公明党に媚びを売っているとしか思えない。
 侵略戦争に簡単にホイホイと参加する国にする恐れのある改悪法案に、危機意識をもってほしい。もっているのかもしれないが、ボンヤリした読者には伝わらない。自衛隊が海外活動を「本来任務」にするとは、聞こえはよいが、アメリカ軍と一緒に、武器をもって「こと」にあたるということなのだ。法よりも現実が、すでに先行している。
 なぜか、より危険な方の自衛隊法改悪案の条文そのものが外にもれてこない。情報公開されていないのである。

 イラクの民間人を虐殺したアメリカ・イギリスによるイラク戦争に賛成し、自衛隊の参加にOKした公明党が、いまさら自衛隊の海外活動「本来任務」化に「待った」をかけたと、なぜ威張ることができるのだろうか。「平和の党」なんて、また言い出すのだとしたら悪い冗談である。「毎日」の記事で公明党は「世論の機が熟していない」から「法改正に向けた論点整理にとどめる方針を決めた」という。つまり、「法改正」を狙う点では、自民党とまったく同じである。とても「待った」をかけたと2面で三段の見出しをたてられるニュースではない。毎日新聞に猛省を促したい。

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2005/03/22

ライスとケナン(改訂版)

 【コンドリーザ・ライス米国務長官による元米外交官ケナン氏追悼文(かなり意図的に誤訳しているので、まったく参考になりません。英文を離れています。危ないです。だれも引用しないとは思いますが、ご注意を!)】

  今日、私はジョージ・F・ケナン氏(元大使)の逝去を、深い悲しみのうちに知りました。私は彼と面識がありました。アメリカ外交政策史で最も偉大な戦略家の一人として彼を尊敬していました。彼は私に深い影響を与えました。  ケナン氏には、他の人が見たら断片に見える事柄から人間の根本的な行動類型を抽出する力がありました。彼は「知は力なり」と、理性の有効性を熱烈に信じていた人でした。われわれのような政策決定者は、政治的出来事の表面下に推移する歴史構造を動かす力を理解しなければなりません。この点で、国務長官ジョージ・マーシャル(ケナン氏を米国務省政策企画室長に任命した)は、ケナン氏が「(歴史の)曲がり角の近くで見る」才能を持っていたと語っています。
  ケナン氏は、有名なあの「長い電報」からマーシャル・プランへの貢献に至るまで、半世紀以上も成功裏につづいた冷戦外交の思想環境づくりに尽力しました。彼の多くの本、回想録に、アメリカにおけるロシア・ソ連外交研究への打ちこみ具合が示されており、それが奨学金設立へと結実したのです。
  ケナン氏の学恩は、これまで、私たち国務省職員全員に知的刺激を与えつづけてきました。これからも受け継がれてゆくことでしょう。私は、ケナン氏のアメリカ国家に対する貢献を誇らしく思い、米国務省の仲間と協力して任務にあたってゆく所存です。私たちは、アンネリーゼ・ケナン夫人とその遺族へ、深い哀悼の念をこめて弔辞を送ります。
 
  2005年3月19日、東京で。コンドリーザ・ライス
                                                               以上
 この追悼文には、いくつも疑問がある。もちろん、訳文にも疑問をもたれるだろうが、それは、それとして、「逆コース」など対日占領政策に甚大な影響を与えたケナン氏の追悼としては、どの新聞も満足できるものが少ない。

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2005/03/19

メディアの行方

 フジテレビとライブドアのたたかいでは、「メディアの行方」の視点から朝日新聞もようやく取り上げた。18日付15面オピニオン欄で、神保哲生氏(ネット移行揺るがない)、田原総一朗氏(テレビ業界は自省せよ)、大石泰彦氏(「公共性」問い直す機会に)と、なかなか面白い(カッコ内は「朝日」整理部記者がつけた見出し。それぞれ見出し文字数が10本で揃えているところが職人芸)。この問題では比較的、毎日新聞が先行していた。三者三論の筋を追うのは気が引けるが、メディアの行方を示唆する論点もあるので、読者の視点から書きとめておきたい。

 ホリエモンの掲げるメディア改革の将来像が明確でないことについて、三者の意見は共通している。
 とくに、ホリエモンのジャーナリズム否定発言は、あまりにも素人然とした怖いもの知らずの極論なので、批判するのも恥ずかしい。しかし、大石泰彦氏は大学教授らしく、丁寧に、ジャーナリズムの「真実」や「公共性」を例に反駁する(本多勝一氏なら「真実」という言葉を使わず「事実」という言葉を用いたであろう)。さらに、大石氏は、ホリエモンが「経済の道具」としてメディアをとらえる世界的傾向の中から必然的に登場したと推理する。この指摘は参考になる。

 「経済の道具」説について大石氏は具体例を挙げていないが、メディア=「経済の道具」説は、いわゆる金融情報を中心とするブルームバーグ路線といってもよい。実際、ブルームバーグの経済記事の一部には、コンピューターにプログラムされたソフトによって自動的に作成されたものがある。日に何度も変わる市場の数字を追いかけるのにジャーナリストは不要で、機械で十分という訳である。ホリエモンのジャーナリスト軽視は、六本木ヒルズ29階以上の人たちに共有されている思想から出てきたものではないかとの疑念をもつ所以でもある(ブルームバーグ考③で取り上げるつもりだったが、大石氏が見事に言い当てておられるので幻の考察に…。実際、ブルームバーグ・ニュースでは、オンザエッヂ時代のホリエモンがベンチャー企業の旗手とされていた)。ただし、ブルームバーグの「経済の道具」説が世界的傾向になっているかというと、そうでもない。意外に、アメリカ単独行動主義の押しつけ(換言すればアメリカ情報押しつけ)批判と軌を一にして、苦戦しているように思える。
 大石氏は、「視聴率がすべて」の考え方を脱却するチャンスとして今回の騒動をとらえるべきだと主張する。ネットとテレビの融合も「伝送路」の拡大ととらえ、ジャーナリズム的には劇的変化は起こらないとする。どちらかといえば、「公共性」の観点からテレビ業界に反省を求める意見である。

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2005/03/17

ブルームバーグ考②

 ホリエモンこと堀江貴文氏が、目標としているのではないかと推察されるブルームバーグ氏について、もう少し、駄文を綴りたい。
 ネットとテレビ融合におけるホリエモン・バッシング論では、AOLの失敗例ばかりが注目されるので、あえてへそ曲がり風にブルームバーグの例を書く。

 金融情報企業の創業者、ブルームバーグ氏は、2001年にニューヨーク市長になったが、あの9.11テロのときの市長としても有名。しかし、前任者のジュリアーニ氏の影に隠れて、いまいち、目立たなかった。いまでは、レストランの禁煙条例とか、劇場での携帯電話禁止条例(罰金があるらしい)で名をはせているらしい。

 参考に読んでみた『ブルームバーグ・バイ・ブルームバーグ』なる本の弱点は、本人の口述筆記である点にある。ブルームバーグ・ニュースの編集局長が「執筆協力者」(ゴーストライター)として名前を連ねているので、当然のように都合の悪いことは書かれていない。徹頭徹尾、ブルームバーグ氏は美化されている。読んでいて、面白くない訳である。立志伝としても、できはよくない。面白いのは、バチカンもブルームバーグの顧客になっていることぐらいだろうか。なんでも、資金管理担当は尼僧だそうである。

 ソロモン・ブラザーズ出身のブルームバーグ氏は、1000万ドル(現在の日本円にして10億円)の退職金を得て、1981年に事業を起こした。このソロモン・ブラザーズというのが曲者である。日本人も、ソロモン・ブラザーズで一攫千金を試みた人もいるようだ。大学教授にも、ソロモン・ブラザーズ出身者がいる。
 日本がバブルのころ、大もうけをしたソロモン・ブラザーズは、ソロモン・スミス・バーニーとなった後、1997年に金融コングロマリットのトラベラーズグループに吸収されて、1998年にシティグループと合体した。金融に詳しいブログではロスチャイルド系と指摘されている。日本では、日興シティグループ、日興コーディアル証券としての顔をもつ。

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2005/03/15

ブルームバーグ考①

 アメリカのマルチメディア企業ブルームバーグの例は、ライブドアの今後を占う上で参考になると思う。まずは、覚書風に。

 1981年 アメリカの大手証券会社ソロモン・ブラザーズのトップ・ディーラーだったマイケル・ブルームバーグが金融情報提供会社を設立。
 1990年 ニュース部門「ブルームバーグ・ニュース」設立。
 1992年 全米初の金融情報専門ラジオ局設立。
 1993年 アメリカの全国公共放送(PBS)でブルームバーグ・ニュース・ラジオを開始。
 1996年 24時間、政治、経済、金融情報を提供する「ブルームバーグテレビジョン」をスタートさせる。
 
 ブルームバーグ氏は、『ブルームバーグ・バイ・ブルームバーグ』(1997年、邦題「メディア界に旋風を起こす男 ブルームバーグ」東洋経済新報社)で、興味深いことに、日本における参入障壁の第一に、記者クラブの存在を挙げていた。現在は、外国人記者にも門は開いているが、フリージャーナリストや政党機関紙は排除されたままである。

 ブルームバーグ氏は、その後、ニューヨーク市長になってしまった。ライブドアのホリエモンこと堀江貴文氏が、政治の世界にどのように「参入」してくるかも、注目のポイントである。

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2005/03/14

風邪か花粉症か

 14日のニュース23、筑紫哲也氏が鼻声になっている。花粉症か、風邪か。おそらく、花粉症だろう。
 午前11時半からのTBS系のニュース・フロントでも、小島慶子アナの咳払いがわずかに流れた。お天気コーナーに切り替わる前の瞬間、音声の切り替えが間に合わなかったようだ。3月はつらいシーズンなのだ。
 まじめくさった世界での、咳払いは、ほほえましい。完璧な状態というのが、むしろ気持ちが悪い。不完全なものの方が好ましい心理もある。
 石ノ森章太郎作「人造人間キカイダー」の「良心回路」みたいに、不完全をあらかじめ織り込んでおく方が人間らしい。
 米映画「お熱いのがお好き」の最後のセリフは、完全な人間はいない、というものだった。米映画に珍しいウイット、ユーモアにあふれていたのは、監督がビリー・ワイルダーだったからだろう。三谷幸喜氏も心酔する映画の巨匠は、ナチス・ドイツから逃れてアメリカにやってきた。アドルノ先生と共通するところがある。
 完全な人間はいないと考えれば、世の中は、案外、うまくいくと思う。
 おごれる者は久しからず。平家物語は生きている。早く没落した億万長者たち、たとえば、武富士の武井元会長、西武・コクドの堤元会長、ダイエーの中内元会長などなど、すさまじい有為転変ぶりである。みずからの内に不完全を織り込んでおかない人たちだったような気がする。

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2005/03/13

ホリエモンと産経

 ホリエモンこと、堀江貴文氏のめざすところがわからない、という意見が圧倒的である。土曜日朝のフジテレビ系番組は、巷のそんな声を次から次へと流していた。当事者だから、当然かもしれないが、意図的ではある。
 ホリエモンは、けっこう、いろんなところで、「理念」を語っている。ところが、それが「理念」と呼べるほどのものかどうか。欲望むき出しの露骨な「もうけ話」なので、げんなりしてしまうところがある。バブル経済以降、露骨な「もうけ話」にうんざりしている人間にとっては、ライブドアは、こってりした企業である。かといって、フジ・産経グループに一泡ふかせてくれみたいな「願望」もあって、様子を眺めている人も多い。

 12日付の産経新聞、日経新聞は、よく売れていた。わが最寄り駅の旧キヨスク(キオスク kiosk は英語だけれど、ロシア語風の響きがたまりませんな)では、完売だった。東京都内では、そうでない売店もあったが…。
 両紙は、ライブドア対フジテレビ決戦の第一ラウンド、東京地裁による仮処分決定の要旨を、一番詳しく報じていた。全文は、日経新聞のホームページで読むことができる。

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2005/03/12

日米安保と牛肉

 12日付の「朝日」「讀賣」「毎日」の米国産牛輸入再開をめぐる見出しは、どれもこれも、おかしなものだった。あたかも、食品安全委員会が異論なく全頭検査見直しを容認したかのように報じている。実際は、どうだったか。
 11日の食品安全委員会プリオン専門調査会では、異論が続出したという。しかも、いまだに、アメリカでは、怪しい配合飼料を使っていることを指摘した。取材した記者に聞いたが、慎重に審議をすすめる意見が大勢であったという。アメリカに迎合的な委員がいるというのも確かだそうだが、少数だという。では、なぜ、あんな見出しになってしまうのか。
 毎日新聞は、記事で配合飼料のことにふれず、社説で書いた。新たな問題点が指摘されているのだから、あたかも食品安全委員会で「合意」がなされたかのように書くのはおかしい。確かに、次回で結論を出すようだが、容認の結論と決まったわけではない。では、なぜ、全頭検査見直しが容認されたかのように、読者をあざむくのか。
 「朝日」「讀賣」「毎日」は、常に日米安保条約を超える視点は打ち出さない。いわば、「社是」である。日米安保条約には、経済的な条項も含まれている。つまり、アメリカ牛肉問題は、裏をかえせば、日米安保条約=日米軍事同盟の問題なのである。3大新聞にとっては、批判的においも打ち出しているが、社説の内容もよく読めば、もう問題は解決へ向かっていると書いていることがわかる。日米関係を揺るがす「見出し」を出すわけにはいかないというわけだ。こんな新聞を読まされたのでは、マスコミに対する不信が高まるのも当たり前である。
 民放テレビのニュースで、東大に合格した人が、ライブドア対フジテレビの問題で、「旧体制の打破」という言葉を使っているのが、面白かった。いま、もうひとつ問われているのは、日米安保条約という「旧体制」、アンシャン・レジームなのである。

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2005/03/11

アメリカの牛肉は負けていた

 日本への牛肉輸入量は、2000年度をピークに、どんどん減少し、アメリカでBSE(牛海綿状脳症)が発生したことによる輸入停止(2003年12月)以前、つまり、2002年度に、アメリカ牛はオーストラリア牛に逆転されていた。データ
 すでに、アメリカ牛は、オーストラリア牛に、02、03、04年度と負けつづけているのである。

 2000年度以降、アメリカの食肉関係者は、一体、何をしていたのか。食肉の検査体制を強め、安全性を高めるなどの経営努力をしていたのか。2005年に至って、急激に報復、制裁をちらつかせて、日本に圧力を加えてきたが、十分、改善する時間はあったはずである。ブッシュ大統領に泣きつく以前に、自分たちで、何らかのとりくみをしたのだろうか。
 
 2004年度、アメリカ牛の最大の輸出先は、メキシコである。このメキシコから日本に牛肉が入ってきていることは、すでに、「週刊金曜日」などの記事によって明らかであり、この「アドルノ的」で、その紹介とともに、コメントした。アメリカ牛を知らずに食べていたなんてことは、ないだろうなあ。十分、ありうるのだけれど。
 食品安全委員会プリオン専門調査会の審議以前に、アメリカ牛うんぬん以前に、日本の消費者自身が、アメリカ牛からオーストラリア牛へシフトしているのである。いまからでも遅くないから、日本に圧力をかける前に、アメリカ牛の安全性を高めるために、努力せよ! 日米友好のためにも、重要なことである。吉野家の牛丼を、安全に食うためにも、それは必要なことなのだ。

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2005/03/10

アメリカ牛肉テロ

 アメリカのブッシュ大統領が9日、小泉首相と電話会談した中身は、牛肉輸入再開が中心だった。近頃、これほど、露骨な話は珍しい。吉野家…の社長が聞いたら、ツユだく大盛りサービス、あるいは、ネギだく大盛りなんて、ブッシュ大統領にサービスしてしまうのではないか。おしんこまでつけるかも(3年前、新宿の吉野家で、肉抜き!と注文する哲人もいた。店員は、その要求にこたえていた。ツユとネギだけで「牛丼」を食すのだ)。

 ブッシュの言い分を大阪弁に訳すと、牛を全頭検査するなんて、あほらし話や。全頭検査なんか、せんでもええやないか、プリオンなんか怖くないで、大したことないで、わいも牛肉食っとる、はよ、輸入せんかい、日本人は牛丼を待ち望んでいるやないか、なんでも大阪では車が店につっこんだやないか、おんどりゃ、ということらしい(いや、もちろん、ブッシュ大統領が大阪弁で話したわけではないが、テキサスなまりかなんかしらんけれども、ニュークリアーのことをニューキュリアーなんて発音するする人なので…)。
 この、ブッシュ政権が、親の敵のように憎む全頭検査の根拠となる学説を発表したのは、アメリカの学者である。しかも、小泉純一郎首相の母校、慶応大学から第1回慶応医学賞までもらっている。その人とは…。

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2005/03/09

巨大メディアとブログ

 フジテレビ対ライブドアの対決は、巨大メディア(日本テレビ=讀賣新聞系、フジテレビ=産経新聞系、テレビ朝日=朝日新聞系、TBS=毎日新聞系、テレビ東京=日本経済新聞系)の独占の一角を崩すのか、どうか以前に、ライブドア&村上ファンド&リーマン・ブラザーズ&ゴールドマン・サックスによる株の仕手戦でしかなかったようにみえる。インターネットでのメディアの変革にしても、ライブドア1社だけで、できる問題ではない。いろんなプロバイダーが力をあわせて挑戦してこそ、面白くなってくるはずである。なぜ、他の大手プロバイダーは沈黙しているのか。インターネットの可能性に注目が集まっている最中なのに。
 例えば、プロバイダーの一つ「goo」は機敏に大宣伝へと打ってでた。ところが、首都圏のJR駅構内などに張り出された大宣伝の中身は、百科辞典の宣伝と見まがうものだった。ネットで検索すれば、いろいろな疑問に答えてくれるよ、というのである。確かに、検索は便利である。インターネットの可能性とは百科辞典的便利さにとどまるものだろうか。将来のメディアを担う意欲が、「goo」の宣伝からは感じられなかった。
 また、ライブドアの天敵=楽天は今回、沈黙を貫いた。仲介手数料収入で満足しているのだろうか。体制側の一員というスタンスを踏み外さないところが、楽天の商売上手なところである。いまのところ、映画マトリックスにおける救世主ネオのような存在が、ホリエモンだったとは考えにくい。蟻の一穴ということはあるかもしれないが…。

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2005/03/08

11日に食品安全委員会プリオン専門調査会

 11日に食品安全委員会プリオン専門調査会が開かれる。BSE(牛海綿状脳症)をめぐる米国産牛肉問題が白熱しているなか、急きょ、開催が決まったような印象をうける。それだけに、「成り行きが注目される」(これが一般マスコミの常套文句。最近では、さすがに使わなくなってきた)。
 コンドリーザ・ライス米国務長官をはじめとするアメリカの圧力(一部のアメリカ上院・下院議員含む)の下で開かれるだけに、マスコミ関係者も多数つめかけることが予想される。
 町村外相が一番、食品安全委員会に圧力をかけるのに熱心だが、島村農水相につづいて、武部自民党幹事長も、非常識発言を展開しはじめた。町村外相といい、武部幹事長といい、北海道選出で、道内には、多数の肉牛農家がいるにもかかわらず、米国産牛肉の輸入再開に熱心である。なぜ、北海道産の牛肉を奨励せずに、アメリカの牛肉ばかり持ち上げるのか。町村氏や武部氏には、アメリカへいって、たくさん牛肉を食べてくださいと呼びかけたくなる。
 アメリカ政府は、圧力をかけるのに熱心な割には、新たな資料の提出を拒んでいる。みずから、危ない肉ですといっているようなものである。

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2005/03/07

コンディ、来日の噂

 「コンディ」こと、コンドリーザ・ライス米国務長官が、3月18日にも来日して小泉首相、町村外相と会談する方向で最終調整しているという。時事通信が伝えている。先月の2プラス2から1カ月後、日本の「ポチ」たちが、ちゃんと宿題をしているか見に来る「家庭教師」のようでもある。
 日本のほか、中国、韓国、パキスタンなどへの訪問も予定しているという。コンディ人形は持参しないのだろうか。少しは売れるのではないか。
 ライス長官は、在日米軍再編にくわえ、BSEに伴う米国産牛肉の輸入再開へ、本格的に「圧力」をくわえるつもりなのだろう。小泉、町村両氏とそろって、吉野家に食べにいくパフォーマンスなど、よもや、しないだろうなあ。
 対日制裁の決議案を提出しているアメリカのお騒がせマン、モラン下院議員(共和党)は、カンザス州(バージニア州の人は別人)なので、吉野家コネクションとの関係は定かではないが、アメリカの肉牛生産者と密接なつながりのある男として見るべきだろう。
 在日米軍再編問題でも、町村外相が北海道選出の衆院議員であることも手伝って、苦しい対応を迫られそうだ。沖縄の基地が、北海道に移されるなんてことを承諾しかねない。町村外相のホームページでは、ライス長官のことをほめちぎっているので、よけい、そう思ってしまう。つるかめ、つるかめ。

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2005/03/06

反ホリエモン論

 ライブドアのホリエモンこと堀江貴文氏について、この「アドルノ的」で「応援するほかない」などと以前、軽率にのべたが、早くも撤回しなければならない。理由は、堀江氏自身がジャーナリズムについて、どう考えているかを、われわれが知る上で有効と思われる二つの判断材料が提示されたことによる。ひるがえって、フジテレビを応援するということではない。どちらも応援しない。

 一つは、外国特派員協会におけるホリエモンの記者会見(3月3日)。これは、神保哲生氏のビデオニュース・ドットコムでライヴ映像(52分)を見ることができる。
 もう一つは、「毎日新聞」(3月5日付)における独占インタビュー記事(インタビューそのものは4日におこなわれた)である。

 堀江氏の発言について、識者の意見に示唆をうけつつ、私が疑問に思う点について、要約して示すと、次のようになる(論点は多岐にわたるが、一部分のみ)。余裕のある方は、ぜひ、ビデオニュース・ドットコムと「毎日」の記事に目を通してほしい。

疑問点
【3月4日】
○ジャーナリストの資質はいらない。
○時代は変わった。
○ブルームバーグの記者に話を聞いた。何か事件があれば、「速報を出せ」が彼らの考え方。
○日々のニュースは時事通信や共同通信で間に合う。われわれも時事や共同のニュースを買っている。
○「私は、ルパート・マードックではない」
【3月5日】
○「僕は自宅では新聞を取っていない」
○「ニッポン放送株問題も、あまりにも偏向しすぎている。例えば、産経新聞を見れば分かる。産経新聞が偏向しているのは明らかに分かる」
○「何でもスクリーニング(取捨選択)してしまうことはいいのか」
○「記事をランキングシステムにして、アクセスが多い記事が見出しが大きくなるとか」
○「記者の判断だけで1面トップに載せるのが本当にいいのか。価値判断はユーザーがすべきだと思う」
○「個人がたくさんいる場所は公共。インターネットは公共性がないんですか?」
○(正確性の追求について既存メディアも)「できていないじゃないか。僕の問題に関しても、かなりの確率でうそ記事がある。やっぱり信用できないなって思います」
○「ありのままの事実をそのまま伝えるのが、いいんじゃないんですか」
●「株主が喜ぶ、利益を出すためにはどうしたらいいのかを考えていくのが経営者の使命だ」
○「産経新聞に関して言及したくない。僕の方は正論をいっていると思うが、今言っても反発を食らうだけだから」

 一見、堀江氏は、現状否定発言の連続で、画期的なことをいっているかのようだが、まったく間違った発言のオンパレードである。自宅では新聞を読んでいないかもしれないが、会社では産経新聞も読んでいるでしょうと、一々しょうもないツッコミもしたくなる。また、○「ありのままの事実をそのまま伝えるのが、いいんじゃないんですか」の発言にいたっては、その「ありのままの事実」を伝えるために、ジャーナリストたちが、どれだけ日夜、しんどい思いをしているかを理解していないのではないですか、といいたくなる。
 「ありのままの事実」は、インターネットのみの、個人が主観的に書きこんだ情報からは見えてこない。パソコンの画面の前にいるだけではつかめない。時事通信や共同通信があればよい、というが、そうだろうか。地方新聞やNHKは主として、共同通信を使ってニュースを流したり、補足取材を行ったりしているが、全面的に依存している訳ではない。NHKも地方紙もそれぞれ独自の記者の力で内容を豊かなものにしている。
 堀江氏の発言の根本には、インターネットにたいする過信があると思う。時代は変わったのではなくて、時代は変えてゆくものである。どう変えてゆくかについて、残念ながら、堀江氏には従来型の経営者の理念しかない。ジャーナリズムについても目新しい展望があるとは思えない。現状の延長線上を、一方的に描いてみせただけである。

 日本の商社が、独自に情報網をもっていることは、よく知られている。丸紅しかり、伊藤忠しかり、双日(旧日商岩井)しかり。海外駐在員の目で見て、足で歩いた情報が、商社マンとして生き、海外戦略をたてる上でモノをいうことを、彼らは、よく知っているのである。堀江氏も情報の重要性については認識しているはずだと思っていた。しかし、どうも違うようだ。ホリエモンという競走馬が連敗しているのと同様、プロ野球参入で堀江氏が敗れ去ったのも、情報の取捨選択を誤った形跡がある。
 報道機関独特の視点・論点については、いろんな例がある。例えば、NHKが中国のコンビニ戦争を特集していたが、NHKが、なぜ、あのテーマをとりあげるに至ったかの経過を考えれば、ジャーナリズムとは一筋縄ではゆかない性質をもっている。だれがネットで、あそこまで、執拗に、中国のコンビニ事情を追っかけるだろうか。このNHKスペシャルでは、ひたすら自分の目で現場をみて経営判断をしてゆく企業人の姿を見ることができた。本来の姿だろうと思う。堀江氏も、会見では語らないが、重要な局面では、自分の目で見るという行為をしているはずなのである。自分の目で見るという行為と、インターネットで記事を読むという行為は、情報をもとに行動する際の正確さ、責任の持ち方が違ってくる。
 だれもがみんな現場を目で見ることはできない。また、簡単に目に見えてこない事実もあり、それを見ることは容易ではない。現場に向かう記者たちは、読者や視聴者の代わりに見にゆくのである。その代わりに見にいく人が、信頼のできない人、うそをつく人であれば、情報の価値は、格段に下がる。堀江氏は、「問題なら、謝ればいい」というが、命にかかわる情報、たとえば、「大量破壊兵器の保有を理由にして、戦争を始めてしまいましたが、間違いでした。ゴメンナサイ」で済むだろうか。情報には、重要な情報と、そうでない情報があるのである。命にかかわる情報を専門的に追いかける人たちは必要なのだ。

 アクセスランキングをもとに、見出しを大きくしてゆくアイディアも、経営者の立場から見たものにすぎない。経営者として、人々が今、何に関心をもっているかを知るには都合のいい情報だろう。ホリエモン式でゆくと、まだ、だれも関心をもたないが、これから重要になる問題について注意を喚起した記事は、アクセスランキングの中で目立たず消えてゆくだろう。ブログでしつこく書けばいいではないかと反論してくるかもしれないが、そのブログとて、書き手が増えれば増えるほど、将来、何億何千万のブログの中で消え、埋没してゆくのである。知り得るのは、キーワードによる検索で情報に到達した場合である。知る側が意識的にならなければ、情報を知ることができない。
 
 ●「株主が喜ぶ、利益を出すためにはどうしたらいいのかを考えていくのが経営者の使命だ」(堀江氏)という主張(もちろん文脈的にはフジテレビとの争いを指しているのだが)は、資本主義の世界では正当なものだろう。しかし、ジャーナリズムには、利益追求と馴染まない面がある。
 「公共性」の理解について、○「個人がたくさんいる場所は公共。インターネットは公共性がないんですか?」と堀江氏は、インタビューに答えている。多忙な中で、毎日新聞の記者の質問に答えているために、舌足らずな発言になっているのではないかと推察するが、あまりにも幼い「公共性」理解を露呈した発言である。公衆便所的な理解の仕方をしているのではないか。少なくとも、人々のために利益を図ることが公共である。株主のために利益を図ることではない。産経新聞についての発言でもわかるとおり、至るところで、矛盾だらけの発言を展開している。
 「規制緩和」と「金融ビッグバン」の申し子である堀江氏は、マスコミを通じて国民にアピールすることを焦るあまり、みずからジャーナリズムを軽視していることを明らかにした。早い段階で告白してくれて、助かった。
 
 余談だが、5日放映のTBS系番組「ブロードキャスター」で、ライブドアの弁護士が辞任したことについて、「主任弁護士が辞任した」とアナウンサーが読み上げたのを、後で、「主任弁護士ではありませんでした」と訂正していた。おそらく、ライブドアから抗議の電話が入ったのだろう。いま、ライブドアは、テレビ番組をいちいちチェックして、既存メディアの報道内容に目を光らせているのである。

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2005/03/05

ホリエモン、あるいはNHK再論

 ニッポン放送株をめぐるライブドア対フジテレビのたたかいは、3月で決まるだろう。 
 NHKの論調も、変わってきた。明らかに「企業の資産価値」論を前面に押し出してきた。これは、権力側の焦りを示すものなのか、はたまた、余裕を示すものなのか。

 その論調の変化をのべる前に、NHKの「ライブドア対フジテレビ報道」が、明らかに他のニュースを隠すために展開された形跡が強いことを批判したい。五つある。

①来年度予算案をめぐる国会審議
②イラク占領の実態とブッシュ政権の動向
③NHK政治介入
④メディア規制としての人権擁護法案
⑤憲法改悪への動き
 もちろん、このほかにもあるだろう。たとえば、郵政民営化など、国民の関心が低く、しかも、なんら緊急性、必要性のない「改革」に対しても、NHKなりの批判的な視点が欠落している。NHKの政治介入関連ニュースが、ある時期から、パッタリ消えたことが、不信感を増幅させる根源なのだ。

 国会で予算案が審議されているとき、NHKは国会中継をする。これは、重要である。最近は、国会テレビもあって、インターネットでも見ることができるようになってきている。それとのダブリ感もあるが、「公共放送」としての役割からすれば、国民への多大な影響がある来年度予算案を「中継」することは重要だ。ところが、この予算案の審議をNHKが、7時のニュースなり、10時のニュースなりで重視しているかといえば、そうではない。いつも、三番手、四番手の紹介である。しかも、どうでもいいものも含めて報道する。4日の「ニュース9」では、自民党の女性議員がとりあげた「性教育」を偏向批判する質問に、小泉首相が「これは、ひどい」と答弁する報道を一方的にとりあげた。
 「これは、ひどい」と小泉首相が決めつければ、すべて決まるのだろうか。自民党議員の質問は、明らかに「やらせ」質問で、同じ自民党の首相に「ひどい」と答えさせているものだから、本来は、紹介する必要のない、馬鹿げた質疑、へぼ芝居なのである。
 NHKは、善悪の基準は首相が握っているとでも主張したいのか。アメリカの政治哲学者レオ・ストラウスに影響されて善玉、悪玉(「悪の枢軸」など)をはっきりさせるネオコンとの類似すら感じさせる報道姿勢である。NHKは、肝心の「性教育」を担当した関係者、教員らの意見は、ニュースでは全然紹介しない。関係者には反論権すら与えられていない。これで、「公正中立」はないだろう。政府の言い分の一方的垂れ流し報道が、何を意味するか。

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2005/03/04

吉野家とアメリカ

前から疑問に思っていたこと、いわゆる牛丼の吉野家&アメリカコネクション、つまり、なぜ、吉野家が、米国産牛肉輸入再開に熱心か、という問題について述べてみたい。
 まず、吉野家とアメリカの関係を洗ってみよう。

1973年 USA吉野家が、コロラド州デンバーで、牛肉の買いつけをする。
      また、この年、吉野家は、アメリカのピザチェーン・シェーキーズ(ちなみに、このシェーキーズの創業者は太平洋戦争に従軍した米軍GIだった。フィリピンでマラリアに罹患し、熱で体がブルブル震えたので、シェーキーというあだ名がついた。それが、店の名前の由来になったというアメリカン・ジョーク的に笑えない顛末。日本に出した店は現在、キリンの傘下に)と提携した。
1975年 ビーフボウル(要するに、アメリカ版吉野家)1号店がデンバーに開店。
1977年 ヨシノヤウエストINC設立。
1992年 ロサンゼルスに国際研修センター、ヨシノヤカレッジ設立。
2002年 ニューヨークに吉野家を開店。
2003年 アメリカ・ホールディングカンパニーのヨシノヤアメリカINC設立。

 以上のようになる。

 問題を解くカギは、コロラド州デンバーにあると思われる。ここは、有名な牛肉の産地である。しかも、いま、輸入再開をしないと日本に報復しちゃうぞと騒ぎ立てる中心人物、アメリカ共和党のアラード上院議員は、なんと、コロラド州選出である。

 また、北海道「まちむら牧場」コネクションの町村信孝外相に「なんとかしてください」としつこく輸入再開を働きかけているコンドリーザ・ライス米国務長官は、子どものころ、デンバーに移り住み、デンバー大学で学んでいるので、当然、デンバーとは深いつながりがある。国務長官就任式には、デンバーのお友達も呼んだというから、いわば、デンバーは「おらが国」。彼女が、なぜ、対日圧力に熱心なのかの謎も解けてくる気がする(自民党的な利益誘導とあまりにもよく似ているので驚くが、単なる憶測にすぎないかもしれない)。ひょっとすると、彼女は、デンバーのビーフボウル1号店に食べにいったことがあるかもしれない。ライス長官に取材する機会のある記者のみなさん(おそらく、会見の約束は、なかなかとれないでしょうが)、ぜひ、質問してほしい。「あなたは、吉野家の牛丼、ビーフボウルを食べたことがありますか?」と。
 かの有名な映画ボウリング・フォー・コロンバインは、コロラド州デンバー近郊の町が舞台である(関係ないけれど…)。

 いずれにしても、吉野家のアメリカ進出ぶり、コネコネぶりを見ると、アメリカと深い関係にあることは、間違いない。2月11日に牛丼ゲリラ活動(残りものの米国産牛、それに豪州牛、メキシコ牛!使用)を展開したのも、日本国内の世論を喚起し、離任前のアメリカ大使(ちなみに、アメリカ大使館員にはCIAのメンバーがいる)と共謀し、2週間後の2月24日に開かれた食品安全委員会(内閣府)のプリオン調査部会の審議に影響を与えるためだったのだろう。政治的日程を彼らなりに組みたてているのである。怖いねえ、CIAは。
 いま、まさに、アメリカ政府は、自国へのカナダ産牛肉の輸入再開を、日本の消費者がアメリカ牛肉の輸入再開を拒んでいるのとまったく同じ理由で、拒絶しようとしている。確信犯とは、まさに、このことである。みずからの利益だけのために、日本の食生活を危険にさらすことを厭わない人々に対しては、「神の国」から「天罰」がくだるだろう(笑えない、笑えないアメリカン・ジョーク)。
 米下院議員たちも、日本にたいする制裁決議案をちらつかせはじめた。なぜ、あんなに、いらついているのだろうか。

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2005/03/03

アメリカの圧力

  政治家の圧力は、目新しくないとはいえ、アメリカからの牛肉輸入再開要求は、明らかに、公正中立を旨とする日本の独立した機関、「食品安全委員会」への内政干渉にあたる。法律家は、なぜ声をあげないのだろう。また、米農務長官も露骨な要求を展開している。しかも、3日午前零時のNHKニュースが伝えるところによれば、日本の外務省首脳が、またも、管轄外の「食品安全委員会」に審議をスピードアップするようにのべ、審議について「何ら問題ない」と発言した棚橋担当大臣まで批判している。オフレコ発言の報道で、名前を伏せて、ニュースにされることがままあるが、この外務省首脳とは、町村信孝外相以外の何者でもない。

 推測の域を出ないが、2日夜、また、コンドリーザ・ライス米国務長官から圧力電話が入ったのだろう。町村外相にとっては、今月下旬にライス長官来日の予定があるから、米国産牛肉輸入再開時期の決定を、彼女への貢物にしようという算段である。同時期、フランス大統領来日と重なるため、ライス長官が来日する具体的日時は決まっていないが、来日となれば、日本の食の安全と引き換えになる公算が高い。

 何度もしつこくいえば、安易な米国産牛輸入再開は、日本国内の食品検査の大改悪になる。
 北海道でポピュラーな「まちむら牛乳」を生産する「まちむら牧場」の系統にある町村信孝外相が、食の安全をないがしろにする動きの先頭にたっているのを見ると、不信を通り越して、あ然とするほかない。日本国内でも、変異型ヤコブ病による死者1人が出ているだけに、アメリカにあわせて議論を急ぐ必要は、まったくない。

 さて、以上、長々とのべたが、本日、3月3日は、みなさんご存じの「ひな祭り」であると同時に、今、注目の「食品安全委員会」の開催日なのである。公開審議なので、傍聴できる条件のある方は、ぜひ、傍聴していただきたい。町村外相は、食品安全委員会について4週に1回しか会議を開かないと仙台での講演(2月26日)でのべたが、間違いである。食品安全委員会は毎週開かれている。プリオン専門調査会のことをいっているのだろうか。1カ月に2回開くときもあるように思うが…。
 では、アメリカや自民党から政治的圧力を受けている「食品安全委員会」とは、そもそも、いかなる機関なのであろうか。

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2005/03/02

牛肉問題で政府に危機感(共同通信)

@nifty:NEWS@nifty:牛肉問題で政府に危機感(共同通信)
 日本が北朝鮮に「経済制裁」する前に、牛肉問題で日本がアメリカから「報復」されそうな勢いである。しかし、本当に「危機感」をもっているのは、ブッシュ米政権である。ネオコン軍団、ウルカヌスたちが、大統領選での「公約実現」に向けて、本性をむき出しにし始めた。
 来日して、1日に首相官邸に駆け込んだ駐米大使の加藤良三氏については、奇しくも1日付の「朝日新聞」で星浩編集委員が、その人となりを紹介している。加藤大使は、「野球おたく」という自分の趣味を利用して、大リーグのチームを経営したことがある「ブッシュ大統領に食いこんでいる」そうである。しかし、むしろ、牛肉問題で逆に「食いこまれている」のではないのかの疑念を持たざるを得ない。
 加藤大使が駆け込む前の日、つまり2月28日の首相官邸で、細田官房長官は記者会見で、コンドリーザ・ライス米国務長官から日本政府に、米国産牛肉の再開を求める要請(圧力と呼ぶ)があったことを明らかにした。なぜか、新聞はこのことを報じていなくて、夕方の日本テレビのニュースが報じた。これは、26日に仙台での講演で町村外相がポロリと話した内容と一致する。明らかに、アメリカからの圧力で、輸入再開へと急速に事態が進んでいる。食品安全委員会の審議など、もはや眼中にないかのようだ。
 「安楽亭」などの焼肉チェーンへゆくと、牛タンについて、牛肉問題を理由に、量が少なくなっていると、お断りの張り紙を出している店もある。かなり、日本フードサービス協会からの宣伝、通達が効いているのかもしれない。しかし、ちゃんと、高いなりにも和牛メニューもあるし、寒かったせいか、深夜とはいえ、若い客でにぎわっていた。安心して牛肉が食べられるのも、全頭検査という海外から注目される体制が国内にあるからこそである。
 それにしても「報復」などとは、尋常ではない。牛肉問題についても6カ国協議が必要なのではないか。
 

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2005/03/01

オン・ザ・エッヂのホリエモン

 ライブドアのホリエモンこと堀江貴文氏が、最初に創業した会社の名前は、「オン・ザ・エッヂ」。ある英和辞典で訳せば、危険な状況にはらはらして、とか、危険で生きるか死ぬかの生活をしている、とか、まさに、○○に瀕して、別の英和辞典では、いらいらして、不快に感じて、神経にさわる、みたいな言葉になる。
 10円硬貨を縁で立たせてみて、どっちに倒れるか見ているような状況にも訳せるらしい。われわれは、それを椅子などに座って見て楽しんでいる訳だが、そうなると、on the edge of ones chair で、訳せば「わくわくしながら(見守って)、興味津々と(成り行きを見て)」の意味となる。劇や映画や物語を椅子に座って見て、ドキドキ、ハラハラみたいな意味を表す英語の慣用句まで織り込まれた企業名だった。ライブドアが、ポテトカウチ族を顧客とし、喜ばせているのもよくわかる。
 まさに、現在のフジ・サンケイグループとのたたかいを予見していたかのようだ。
 もともと、ホリエモンとは、そういう危ない橋を渡る男だったのだ。
 オン・ザ・エッヂの創業者は、もう一人いたのだが、はやばやと引退して巨額の資産を得ている。東京・渋谷にも、ときどき出没しているという。宇宙にこだわっているらしくて、すでに、宇宙旅行ツアーも予約しているという人物。オン・ザ・エッヂどころか、悠々自適の毎日らしい。もう一人の創業者は、ホリエモンの今の姿をどう見ているのだろうか。

 ホリエモンさんが、日本型資本主義に挑戦しようとしている限り、その行為は、弁護されてしかるべきだと思う。既成の概念、価値観を打ち破ること自体、大変なことなのだ。問題は、その相手が、政商的フジ・サンケイグループであるところに、オン・ザ・エッヂぶりが表れていると思う。
 かつて、サンケイ新聞だったころ、田中角栄が、サンケイ新聞を自民党の機関紙化しようとして、買収計画を試みたこともあった。いまでは、そんなことをしなくても、本当に自民党の機関紙になってしまっている。支配体制側のマスコミに対して、ライブドアは逆に支配を及ぼそうというのだから。その破天荒さたるや、おして知るべしである。一部週刊誌が報じているように、自民党をいらだたせているのもよくわかる。
 のるか、そるか。ホリエモンを、応援したい。

 ※ビデオ・ジャーナリストの神保哲生さんが、「アドルノ的」にトラックバックして下さったので、アメリカ牛肉シリーズを中断して、ライブドアについて書いてみました。明日からは、また、アメリカ牛肉輸入再開シリーズに戻ります。

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